ダイナ

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のダイナのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ボールを角度をつけた壁当てして鳥を殺す。これだけでこの男の悪どい本質と技術の高さが窺えて、そんな男が情けなく逃げ出すまでで10分程度、テンポが良すぎます。(鳥を殺したサバントの頭を鳥がつつくのが良い。)

後発部隊が本作のレギュラーとなるわけですが、バラバラな個性がぶつかって打ち解けていく過程がとても面白いです。ブラッドスポートと対立するピースメイカー、殺し方で張り合って、ピ「俺のが超いけてる」ブ「くそっその通りだ!」←可愛い。バス車内のブラッドスポートとラットキャッチャー2の窓ガラスに回想が映った打ち明け話も良かったですし、またピースメイカーの酒場でのネズミへの心遣いが結構好き。

コメディ要素も満点。しょうもない世間話や下ネタ、ナナウエの小学生みたいな絡み、会話劇が面白いです。特に気まずいシーン、殺してたの反政府部隊だった…っていう普通のヒーローものだったらクッソ叩かれる展開もこいつらだから許される(?)し、ハーレイ・クイン救おうとしたらハーレイに話しかけられてポカンとか、ノリノリで登った梯子が急に外される変化球な面白さがイイ。

ハーレイ・クインの花弁しぶき演出やポルカドットの水玉ウイルス、サイケでポップな色彩が画面を一気に楽しくなります。ゲームだったら絶対QTEな崩れ落ちる瓦礫を渡り抜けるダイナミックさも見応え抜群。ピースvsフラッグ大佐の戦闘をヘルメットに映す工夫された演出も面白い。演出で言うと、作中の出来事、水に浮かぶ血が「ワーナー〜」を形成したり、樹の根っこ、爆炎等を利用して展開を示す文字を表現する演出も面白くて印象強く残ります。ブラッドvsピース決着の「より小さい弾だ」。前半の「派手地味論争」の比較がここで活用されるとは!ウマイ!

特に好きなシーンを3つ。
1)ダウナーなロックを背に雨の中歩くスーサイドスクワット達が滅茶苦茶カッコいい。ここ一緒にシンカー(ピンヘッドみたいな奴)が仲間みたいな感じで歩いてて「オマエ違うだろ!」とツッコミたくなります。
2)現地民を虐殺するスターロに立ち向かうスクアッド達。ブラッドスポートが葛藤して振り返って歩き出す所で涙腺結構きましたねぇ!ブチギレるアマンダ(関係ない話ですが、キャリア高い黒人女性の名前が「アマンダ」でなんとなく「デトロイトビカムヒューマン」を思い出しました。)を殴り倒しスクアッドのサポートに回るスタッフ達もGood Job!時折見せたキャビン並のクソ勤務態度には目を瞑りましょう。立ち向かう面々の保身が勝らない精神に違和感を感じるかもれませんが、考えてみるとここで集まった面子は「アマンダ選出」なんですよね。それこそアマンダの理想としては事情を知って思い通りに動くピースメイカーのような面子で固めたかったでしょうが、求められるスキルを考慮した結果の「スーサイドスクワッド」。凶悪犯だからといって一般人が蹂躙されている出来事に寛容なわけではないでしょう。フラッグ大佐やラットキャッチャー2は潜入時の様子から分かりますし、その他は「みんな行くなら行くよ」ってスタンスですし。首爆弾が凶悪犯達に全く脅しになっていないのは今後タスクフォースXが見直すべきポイントですね。
3)ネズミを撫でるブラッドスポート。涙腺を刺激してくるのはいつもこいつなんだよ。優しく撫でる所でガッツポーズ。

主要メンバーの退場、アナーキーかつあっさり散る無常さがこの映画の良い所でもあるのですがこの世界線で姿がもう見られないのは残念。ポルカドットの退場は残念ですが「兄弟の存在」匂わせてましたよねぇ、何とは言わんが期待してますからねぇ…。
ダイナ

ダイナ