春とヒコーキ土岡哲朗

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結の春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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悪人であることに腐らずに、人とつながることに喜ぶ。


悪人でもなくしちゃいけない人情。

敵を惨殺する反省の色なしの受刑者たちが、強制的に任務に挑まされる。それなのに応援したくなるヤツらばかり。娘にとって悪い父親のブラッドスポートは、誇れる自分になりたいという主人公らしい苦悩を抱えてスタート。その他も、優しい父と寂しい人生しか歩めなかったラットキャッチャー2、母親に実験され愛情を受けなかったポルカドットマン、友を知らないキング・シャークなど、みな人間関係が足りていない。そいつらが、即席チームの中で人と協力する、人のために動くことで心が満たされることを知っていく。

ヒーローが掲げる正義の信念は、彼らにはない。彼らは所詮悪者。でも、悪者でも人との調和の温かみに触れたらそれを守りたくなる情を持ち合わせている。ハーレイクインは他のキャラクター以上にぶっ飛んだテンションだが、それでも誰も助けに来ないと思っていたらフラッグが助けに来て喜ぶなど、人間らしさは十分描かれている。ダメな人間でも、踏み外しちゃいけないところを踏み外さなければ、再挑戦できる。


悪ガキ心くすぐる2時間。

ヴィランなキャラクターたちにジェームズ・ガンのノリが掛け合わさり、ずっとイケないけど楽しい遊びをしている気分。
おなじみになったハーレイが知名度で引っ張りつつ、各キャラがユーモアある会話でちゃんと親しみも持てた。主役が一人ではない群像劇だが、一人ひとりが主役らしい葛藤と親しみと正義感を持っていたから、全員が主役になれていた。

ハーレイのドレス姿での戦闘シーンが一番良かった。本人も乙女になってうっとりするかわいいドレス姿で、両手に銃を持っての戦闘。銃を持って両腕を広げて回転するが、ずっと両腕を開きっぱなしではなく、時折両手を揃えてまた開く動き方がリアルで良かった。彼女の背景を花にし、彼女に撃たれた敵も血ではなく花を吹き出していく映像演出で、銃撃すらハーレイワールドにしてしまう我の強さが良い。また最初の上陸作戦での彼女の動きも、はちゃめちゃなキャラなのに意外にもしっかり軍人的動きをしていて変なギャップ萌えがあった。