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愛せない息子のkyokoのレビュー・感想・評価

愛せない息子(2017年製作の映画)
4.0
TNLF2018⑥

今年のノーザンライツで観た中でいちばん良かった。

不慮の事故で妻を亡くした男が、コロンビアから養子に迎えていた息子との関係に悩む姿を描いている。
オルハイムカンパニーから続いて、またまたクリストッフェル・ヨーネル。

この父親の心情がきれいごとなしで生々しい。
そもそも縁組自体、母親主導で行われたんじゃないだろうか。
妻がいない今、彼にとって息子ダニエルは手にあまる存在でしかない。
それを敏感に感じとる息子は、おねしょや癇癪を繰り返す。

男親は実子ですら最初は「我が子」を実感するのが難しい。だからこそ、この父親が結論に至った理由がとても自然でリアルに思えた。
バスでの2人の様子が泣けたなー。

父性と母性の差、ひとり親家庭が抱える問題などに加えて、重要なテーマが国家がかかえる貧困問題と子供への影響。
コロンビアではダニエルのように海外で養子に迎えられる子どもは宝くじに当たるようなものだ、という、親子を見守るタクシー運転手(この人がめちゃくちゃいい人だった!)の言葉とコロンビアの街を俯瞰したラストカットが、この問題の根深さを強く訴えかけてくる。
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