TAK44マグナム

バンブルビーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

バンブルビー(2018年製作の映画)
4.0
青春がトランスフォームする!


映画界の大魔神マイケル・ベイが監督してきた一連の「トランスフォーマー」シリーズのスピンオフ作品。
一作目に続くエピソード0的な内容で、惑星サイバトロンをおわれたバンブルビーが、オプティマスの命令を受けて、他のオートボット達が集まるまで地球をディセプティコンから守る姿を、父親を亡くした孤独な少女との友情を織り交ぜながら描いております。

アニメ畑のトラヴィス・ナイト監督だからというわけではないでしょうけれど、どこかディズニーなどの海外アニメっぽい。
それらが得意とする「人でない者と少年や少女の絆を描き、お互いの心に開いた穴を埋める」というテーマを、男の子が大好きなロボットと、女の子が共感しやすい思春期の女子を主人公にして、実に分かりやすいお話にまとめていますね。

主演は、「エンダーのゲーム」のヘイリー・スタインフェルド。
健康的な生脚が眼福ですが、途中から指原莉乃に見えて仕方がなかったです(苦笑)
他に、セクター7所属の軍人役でプロレスラーのジョン・シナ等が出演していますが、主人公にフォーカスが当たり続けるために他キャラクターがステレオタイプになりがちな中、無骨ながら意外と常識的な人物を好演しています。



1987年のアメリカに降り立ったオートボットの戦士B-127は、偶然に居合わせたアメリカ軍を巻き添えにする形で追っ手のブリッツウィングと激闘を繰り広げ、辛くもブリッツウィングを退けた。
軍に追われるようになってしまったB-127はフォルクスワーゲンに偽装して身を隠し、それを1人の少女が発見し、修理して蘇らせた。
その少女チャーリーは父親を亡くし、母親がつくったあたらしい家族にも馴染めずにいたが、正体を明かしたB-127と仲良く過ごすことによって、段々と明るさを取り戻して行く。
B-127にバンブルビーというニックネームをつけるチャーリー。
チャーリーの事が気になる少年メモを加えて楽しい時間を過ごすが、アメリカ軍、そしてディセプティコンの殺し屋コンビであるシャッターとドロップキックがすぐそこまで迫っているのであった・・・!



1987年が舞台ということで最初から懐かしの'80ミュージックがかかりまくり♪
ドンピシャ世代なので嬉しかったのですが、バンブルビーはリック・アストリーをお気に召さなかった模様(苦笑)
音楽といえば、主演のヘイリー・スタインフェルド自らが歌っている主題歌がかかるエンドクレジットも洒落てました。
最近、エンドクレジットが凝っている、この手の映画が多い気がしますけれど、最後まで目や耳が楽しめるし良い傾向ですよね。


バンブルビーが、オリジナルの玩具通りにワーゲンから変形、最終的には一作目でお馴染みの姿となって、「なるほど、ここから一作目の中古車屋に繋がるんだな」と思ったのですが、一作目の最初でアメリカ軍がトランスフォーマーたちを認知していなかったのはどうしてなんだろう?という疑問も。
セクター7だけが知る機密事項になっていたからなのか。
でも、あれだけの軍人や、下手したら民間人も目撃してそうなものなのに隠せたのかね(汗)
(それにしても、こうなると「トランスフォーマー/最後の騎士王」での、各時代において既にトランスフォーマーたちが人類の歴史に介入していたという設定は完全におかしい気がする)
しかし、バンブルビーのおかげで地球(アメリカ軍)は20年間のテクノロジーの発達を遂げられたわけで、それが後々のディセプティコンとの戦いにおいて互角に戦える結果を生んだのは密かに胸熱。
バンブルビー様様だったんだなぁ!
そうそう、どうして声が出なくなってしまったのか、ラジオで話すようになった流れも判明しますよ。


バンブルビー以外にも多数のトランスフォーマーが顔見せ程度には登場します。
サイバトロン星では、オプティマスも戦う姿をみせてくれますが、個人的にはディセプティコンのサウンドウェーブが、ちゃんとカセットロンを射出してくれて、熱かったです!
さすがにラジカセには変形してくれませんでしたが・・・

今回、トルプルチェンジャーだったりしてやたらと格好いい敵と違って、オートボットは基本的にヤラレ役なので、あまり良いところが無い(汗)
ほぼ、バンブルビーがひとりで頑張り通します。
バンブルビーのアクションは、いつも通り。若干、非力ながらも勘を働かせて逆転する感じです。
戦闘以外では愛嬌を振りまいて部屋をメチャクチャにしたり(汗)、図体のでかい、鋼鉄のぬいぐるみみたいな扱いでした。
パートナーが女子だからかな?
時には子供、時にはボーイフレンド、時には父親みたいに、状況に応じてキャラ変する、いつにも増して忙しいキャラクターになっています。

マイケル・ベイが力任せに撮っていた過去作と違って、お話のスケールが小さい小品になっていますが、これぐらい規模をデフレさせても1エピソードとして上手く出来ているので面白かったですね。
行き着くところまで行き着いてしまった感があったシリーズを、対象年齢を下げ、ファミリー映画の趣を前面にだしたのはスピンオフ作品としては正解でしょう。
また、吹き替えしかレイトショーが無く、仕方なく吹き替え版での鑑賞になりました。
土屋太鳳は繊細さを隠し持った主人公を巧く演じていますが、もう少し声にパンチがあっても良かったかな?と思いました。

兎にも角にも、ロボットと少女の垣根を超えた友情は、過去作でのサムとバンブルビーの友情物語とまた違ったパートナーシップが垣間見えて、少女の青春が始まる話としても恥ずかしいぐらいに瑞々しくて良かったと思います。


最後に個人的な思い出をひとつ。ワーゲンになって身を隠していたバンブルビーがチャーリーに発見された時、蜂がブンブンとたかっていましたが(それが名前の由来にもなる)、これは本当にありえる話でしてね。
というのも、経験者だから分かるんです。
昔乗っていた車のボディカラーが鮮やかな黄色だったんですけれど、あまり乗る機会がなくなってしまい駐車場に置きっぱにしてしまっていたんです。
すると、ある日、駐車場管理の人から手紙が届きましてね。
どうやら車に蜂の巣が作られてしまって、となりに停めている人から苦情がきたと言うんです。
驚いて、すぐに蜂の巣を撤去したんですけれど、車のボンネットの中とかに三箇所も蜂の巣があって、本当にビックリでしたよ(汗)
蜂って特に黄色に反応するみたいで、黄色い車を放置しているなら気をつけないといけないらしいんです。
なので、劇中のバンブルビーに蜂がたかっていたのは、きっとキャブレターとか辺りに蜂の巣が作られてしまっていて、それはじゅうぶん有り得ることだったのです。
と、映画を観ながら思い出していました。
確か、管理のおじさんが勝手に竹箒ではたいてくれたおかげで車体が傷だらけにされ、怒ったら再塗装代だしてくれて結果的にはピカピカになったのでした。
それですぐに売却したという(汗)
ごめんよ、(ワーゲンじゃなかったけど)Myバンブルビー(苦笑)


劇場(シネプレックス平塚)にて