『シリーズファン的には少し複雑な気分のシリーズ最高傑作』
『トランスフォーマー』シリーズの人気キャラクター・バンブルビーを主人公としたスピンオフ作品。
孤独な少女チャーリーは1人地球にやってきたオートボットのバンブルビーと出会い、心を通わせていくが、そこにバンブルビーを追ってきたディセプティコンが襲いかかる。
監督は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のトラヴィス・ナイト。
主演は『スウィート17モンスター』などのヘイリー・スタインフェルド。
2D吹き替え版と字幕版で計2回鑑賞。
お馴染みのマイケル・ベイ大暴走映画『トランスフォーマー』シリーズの初のスピンオフ作品。
世界的大ヒットシリーズであるその一方で、マイケル・ベイのあまりにもクセが強すぎる作家性のせいで批評的には毎回酷評されているというという異色のシリーズ。
もちろん、単純に映画としては、脚本はボロボロ、アクションは何やってるか訳わかんないととても褒められたものではない。
なんだけど、個人的には大好きなシリーズで、マイケル・ベイのとにかくやり過ぎなところを毎回楽しんでいた。
ただ、さすがにマイケル・ベイもネタ切れしたのかやる気が無くなったのか、前作『トランスフォーマー/最後の騎士王』はシリーズの中でも正直言って物足りない作品にはなっていた。興収的にもシリーズでは1番低くなってしまっていて、シリーズ存続の危機的状態になっていたんだと思う。
そんな中での今回の初めてのスピンオフ。
ちなみに今回の『バンブルビー』は一応シリーズ1作目の前日談という立ち位置らしいが、微妙に過去シリーズと矛盾するところがあるし、製作側でシリーズ全体をリブートする案がありつつもはっきりとは決まってないみたいで、おそらく今までのシリーズとリブートのどちらでもいけるように作られているんじゃないかな？
今回はシリーズで初めてマイケル・ベイが監督を降りて、代わりにトラヴィス・ナイトが監督についたことで、今までに『トランスフォーマー』とはまるで正反対の作品になっている。
今まで粗だらけだった脚本はしっかりと練り込まれた、『E.T』のような人間と宇宙人の出会いと友情を描いたジュブナイルものになっていて、とにかく隙のない完成度の高いストーリーになっている。
映像面でも、ベイのとにかく情報量が多すぎて何やってるのか訳が分からなくなっていたところも、比較的情報量を抑えて、アクションもキャラクターの位置関係や目的がはっきりと分かる見やすいアクションになっている。
トランスフォーマー達のデザインも初代のアニメシリーズにより近いものに変わり、キャラの数も大幅に減ったことで覚えやすくなったと思う。
上映時間も2時間半程度は当たり前だったのが約2時間と大幅に短くなり、見やすいちょうどいい時間になっている。
さらに、今までマイケル・ベイが作り上げてきたバンブルビーというキャラクターの魅力的もしっかり受け継いでいる。
トランスフォーマーの中では唯一言葉が話せない点を生かして表情や動きで感情を表現するところも今まで以上に表情豊かになり、ラジオを使っての会話も相変わらず楽しく、パートナーのチャーリーにちょっとお節介な事をしちゃったり、中盤の警察のとのカーチェイスではかなり無茶しちゃったりと可愛らしいところも健在。
全体の構成としても、冒頭から「サイバトロン星の戦い」→「地球人とバンブルビーの追跡劇」→「ディセプティコンとの戦い」と次々にアクションを繰り出してくるので冒頭の掴みとしては最高。
『トランスフォーマー』シリーズの代名詞と言える変形も今までにない視点からの変形や少し中途半端な変形を使って狭いところへの侵入など今までにない使い方をしている。
全体的にどこをとってもクオリティが高く、隙のない素晴らしい作品で、間違いなくシリーズ最高傑作だし、シリーズファンはもちろん初見の人まで楽しめる作品ではある。
ただ、個人的にはどうしても物足りなさを感じてしまう。
『トランスフォーマー』はなんだかんだ言ってもマイケル・ベイの作品を良くも悪くも穴だらけにしてしまうぐらいの尖りまくってた作家性が楽しい作品でもあったから、今回の『バンブルビー』は別人のように変わりすぎてて少し困惑気味。
何より、あのマイケル・ベイの無茶苦茶っぷりをもう見れないのかと思うと少し寂しさを感じる。マイケル・ベイに毒されすぎかな？
かと言って、『最後の騎士王』の続きをマイケル・ベイに作って欲しいかと聞かれると微妙なところではあるが...。
とは言え、1本の映画としてはほぼほぼ文句なしの傑作だし、マイケル・ベイのシリーズを続けるにしろ、『バンブルビー』の続編を作るにしろ、今後の『トランスフォーマー』シリーズが楽しみになった作品ではある。
シリーズファンとしては続いてくれるだけで嬉しいので、是非とも大ヒットしてほしい。
だから頼むから劇場で見てくれ。
お願い🥺
