三宅唱監督の時代劇とあって、満員立ち見の大盛況の初日だった。
時代劇を観て感動するのは、「人間の営みはいつの世も変わらない」ことを登場人物の居住まいの中に見るからだ。
「密使」「番人」。
それぞれに役割はあれど、登場人物たちの営みは、まるで自然番組の昆虫たちのようだ。
蟻のようにひたすらモノを運び続ける者。
狩りをし続ける者。
集団の中で支配被支配を作りたがる者。
巣を作ってそこにとどまろうとする者たち。
雪原で絡み合う2人の男の姿は、滑稽で儚い。
こういった営みを俯瞰で見ているカメラと客の視線。
私は三宅監督のこの「俯瞰」加減が好きだ。軽くて重い。
雪原と、歩き続ける男たちの姿を見たら、また『やくたたず』が観たくなった。