ポンコツ娘萌え萌え同盟

ザ・緊縛のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

ザ・緊縛(1984年製作の映画)
3.3
夢野史郎脚本にしてはマイルドなので夢野史郎初心者用としては最適な一作。
最初の車のヘッドライトを当てながら行われるSMプレイで目を移すカットがあるのだが、それからどうも私はまた夢野史郎の世界に物語を巻き込まれたかようだ。対象物を"観る"という意識を感じるように捉われる。
一映画鑑賞者であるからには"観る"ということは当たり前なのだがそれとはまた違った、異質な感覚。

12時には魔法が解けたかのように去っていくシンデレラにであったタクシードライバーの男の物語なんだけど、
だけど彼が彼女の落とした靴から巻き込まれていくのはSMの世界。
彼もまた、この世界でSMを見ていわば鑑賞者的な部分こそあるが完全な我々や度々映る第三者の観客的な立ち位置とは異なり当事者に近い。
「世界を殺せるのは夢野史郎だ」と思っていたが本作に関しては夢野史郎は世界を侵食してくる。当事者に関わってしまえばそのままズルズルと。だからこそやはり彼は完全な第三者ではない。
だからこそ我々はタクシードライバーの彼と出会ったシンデレラの女を覗いた。
彼が見ている中で踊っている女の構図なんか本当に覗いているかのようだった。

プレイ傾向としては題名の通りほぼSMプレイなので厳しい人には厳しいかもしれないけど、ただ電気がついてるビルを背景に屋上でSMセックスする場面がなんかそそられるけど、自分が見た環境だとぼかしが雑すぎて興が醒める。
他にもまだ夜でもないのに上から見ればSM行為を見物できるトラックなんて青姦SMもいいですね。
でも相変わらず夢野史郎は抜けない。