将軍に忠義を尽くしている大奥女中（中川梨絵）が、他の男と密通している女中を戒めるための人身御供にされてしまう。殿様の傀儡にされている女性の自己実現をテーマに扱っている、日活ロマンポルノ。
大奥と遊廓を同列のものとして扱っているところが特徴的。主人公は吉原の女郎へと堕ちてしまうのだが、「本当に堕ちたといえるのだろうか？」という問い掛けが、内包されている。元大奥を売り文句にした「大奥イメクラ」に笑わせられる。
吉原遊廓を再現している重厚なセットは言わずもがな。香具師や忘八が登場するので、異世界の雰囲気作りが抜群。また、遣り手婆（橘田良江）が悪役のようになっているが、彼女は吉原の安定化に腐心している立場であるため、絶対悪というわけではない。
恋愛要素では、元大奥ではなく一個人の女性として扱ってくれる浪人（井上博一）との交流が描かれる。東映が先行させていた「大奥もの」を、次のステージへと引き上げた記念碑的作品と言っても過言ではない。
