イチロヲ

黒い下着の女のイチロヲのレビュー・感想・評価

黒い下着の女(1982年製作の映画)
4.0
横領罪に手を染めた女性(倉吉朝子)が、内気な青年(上野淳)を懐柔しながら、無軌道な逃避行を繰り広げる。女を武器にしながら世渡りする女性の顛末を描いている、日活ロマンポルノ。

脚本家いどあきおの一貫した女性像が、本作においても炸裂している。本能に従うことにより、セックスとマネーに充足した生活を実現させていくという、一寸先が真っ暗闇の刹那的な生き方が綴られていく。

主人公の一挙手一投足が活気に満ち溢れており、崖っぷちなのだけど、崖からの転落を寸前で回避しているような、珍妙な感覚を楽しむことができる。「いざとなったら心中したらええ!」という気持ちの、カウンター精神を生き甲斐にしているところが面白い。

主人公カップルのやり取りでは、「なんでブラジャーから金が出てくんねん!」→「わからん!」の丁々発止が至高。一方、子供を誘拐した後の展開は、尺の都合によるものか、やや強引さが際立っている。
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