イチロヲ

スキャンティドール 脱ぎたての香りのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
新感覚のランジェリー喫茶を開店した女性(小田かおる)が、下着メーカーの開発部長を名乗る男(上田耕一)と接触する。女性用下着に魅せられた人々の群像劇を綴っている、日活ロマンポルノ。NCP共同製作。後の大物、周防正行が助監督と脚本(主題歌の作詞含む)を担当している。

陽気な雰囲気が全編を支配している、純然たるセックス喜劇。主人公の父親(大杉漣)が老舗の下着職人であり、異なった下着観をもつ父娘の齟齬や、下着史上主義の日常を送っている人間たちの種々相を、スラップスティックに描写している。

小田かおると同棲している青年(佐藤恒治)は、下着から動物的な肉欲を受けるタイプの人間。一方、下着メーカーの社員を名乗る中年男は、下着に静的な芸術性を見いだそうとするタイプの人間。世代間格差を介した「ランジェリーLOVE」が伝わってくる。

パンティ型の巨大風船がシンボリックに登場したり、映像が大量の下着で埋め尽くされたり、極めて映画的な面白さに満ち溢れている。パンティにリボンを付けた下着デザイナー、鴨居羊子の特別出演を脳内補完してみるのも、また一興。
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