くもすけ

人妻暴行マンションのくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

人妻暴行マンション(1985年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

昔小唄映画というのがあったらしい。歌が先に出て映画になる。トーキーに移行する頃の話。時代下って劇中何度か出てくる銀座の恋の物語は裕次郎主演映画になりおやじデュエットの定番曲になったようだ。1番だけ引いてみる。
(女)心の底まで しびれるような
(男)吐息が切ない 囁きだから
(女)泪が思わず 湧いてきて
(男)泣きたくなるのさ この俺も
(二人)東京で一つ
銀座で一つ
若い二人が 始めて逢った
真実(ほんと)の 恋の 物語り

細馬宏通「うたのしくみ」でこの曲が取り上げられている。実は歌の微妙な半音の使い方が難しい、特に2番で男が女のパートに重ねて歌うとこがユニーク、映画版ではこの不明瞭な主語をシナリオに取り込んでる、など興味深い。

原曲から20年以上たった男女雇用機会均等元年、末期ロマンポルノが歌詞に思いを馳せるとき、それは銀座でも一つでもない。寸断された記憶の中に埋め込まれる昭和の忘れ形見。電話ボックスの紙マッチ、新宿ホテルの食べられるパンツ、居間のゴジラ、二つ三つと畳み掛ける中年公務員の数え唄