最近のカウリスマキの作品、と言っても『枯れ葉』か今作しか無いのだが、何処まで科学が発達して映像表現が進化してもカウリスマキの色が失われることはないなと感じる。
彼の作品を大昔から形作る要素、無機質に見えるが優しさを秘めた人物像であったり色彩表現や構図、その他多くの要素があまりに色濃すぎる所為か。
『マッチ工場の少女』でも『枯れ葉』でも社会情勢がテレビやラジオに載せてこちらに発せられる。前者であれば天安門事件、後者であればウクライナ・ロシアの戦争。
今作ではシリア内戦を始めとした難民問題。カウリスマキは一見、シュールとコメディ、アートとエンタメを行き来する映画監督に見えるが、その内ではずっと社会派なのだと思う。
彼のおかげで優しい映画が好きになった。
それが嬉しい。