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希望のかなたのkyokoのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0
@フィンランド映画祭
私にとって初めてのカウリスマキ作品。

みなさん極めて無表情なのに、なぜにこんなにも優しさが滲みでるのか。
そして無表情での渾身のボケもたまらない。
唐突に犬、そして予告でも観られる間違いだらけのジャポニズムのシュールさには爆笑した。
音楽の生演奏に力入れすぎ感も◎
私の大好物が揃ってるではないか。
なぜ今までカウリスマキ作品を観なかったんだろう。バカバカ私のバカ。

難民から見たフィンランドは一見おおらかなようで闇を持つ。
受けいれる人数が増えれば増えるほど、難民に対して差別的排他的感情が出てくるのは当然だろう。北欧でも難民による性的暴行事件が多発していると聞くが、もしこれが事実ならば自警団の出現はしかたのないことだ(劇中の黒服団は自警という意味とは少し違うけれど)。

カウリスマキ監督は、理不尽にも家を失い故国から逃れなくてはならなかったひとりの誠実な難民(主人公カーリドが本当に真面目!)に対して温かいまなざしを向けると同時に、自国フィンランド人の温かさも強く描きたかったはず。
なので、カーリドにとって希望のあるラストであったと思いたい。

それにしても、主演のシェルワン・ハジ、鉢巻きつけたときの山田孝之感がハンパないわあ。
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