ユカートマン

希望のかなたのユカートマンのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.8
戦火で家族を失い、身一つでフィンランドにたどり着いたアレッポ出身のハリド。唯一の生き残りである生き別れた妹をこの国に呼びたい彼が味わう希望と絶望、また彼を受け入れる人々と受け入れられない人々を静かに描いた作品。
久しぶりにカウリスマキの作品を見たらブレッソンの影響を強く感じた。90年代後半に生まれたわたしが映画を通して学ぶ戦争は第二次世界大戦やベトナム戦争、イラク戦争といった自分がリアルタイムで経験したことがないものばかりだったが、本作はわたしの知っている戦争、そのリアルを突きつけられる。ネオナチが東ドイツ地域に多いのも、ソ連主導の旧東ドイツでは過去の反省(反ナチ教育)が行われなかったからで、戦争が語られるときに切り捨てられる一人一人の個人的な悲劇は教科書には載っていない。だからこそ、こういった文学作品や映画は古今東西問わず必要とされるべきだ。
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