「もっと頼って」
日本に実在した貧困家庭を描いた作品。
現代の話です。
外国人の夫と離婚し、ハーフの一人娘エリー(長谷川葉音)と暮らす愛美(内山理名)。
社会の常識に囚われず、エリーは学校に行っていない。
職につかない愛美は娘と共に食べる物にも困る貧困に陥っていた。
娘が可愛くないのか、と言うとそうではない。
どちらかと言えば猫っ可愛がり。
恋人同士のようにイチャイチャ寄り添っている。
行政に相談するが、言う事がズレている。
助けを拒むプライドはあるが、仕事が嫌い。
働こうとしても面接のアポを電話で取ることもしない。
当たり前の頑張り方を知らない人。
なんでこうなんだろう?
…常識を知らない愛美はネグレクトの母親に育てられていた。
負の連鎖
何も教育されていない人が子供を育てる難しさと怖さを、この映画で知った。
どうしてそんな事をしているの?と思うが、知らなければそんなものなのかも知れない。
人との関わり方も甘え方も権利も。
食べ物も底を付き、フラフラになっても、なすすべが無い。
今の日本で。
千葉の事件を思い出した。
当り前が当り前だとわからない人がいる。
それに「普通」の人達が気づければ無くなる悲劇だってある。
拒絶されるのは辛い。
それでも踏み込む親切を持つ難しさ。
この街の諦めない優しさにじんわりした。
「プラモデルの天才」役の木村祐一が素晴らしかった。
エリーを思い、愛美を怒鳴りつけるシーンが胸を打つ。
他人でも、こんなに思ってくれるんだね。
救いがあった映画でした。
愛美役を内山理名がキュートに演じている。
悲壮感溢れるストーリーを、最後まで観られるのはこの人の役作りのおかげだと思った。
※以前、ネグレクトの親に育てられた方の手記を読んだことがあります。
お風呂の入り方も食事の仕方も分からない。
言葉も普通にはいかない。
大きくなって家を出て、知り合った女性と交際し、毎日何度も叱られ生活上の常識とマナーを身に着けたそうです。
食事が温かいものだと初めて知ったそうです。