だい

すばらしき映画音楽たちのだいのレビュー・感想・評価

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)
3.0
言っていることはわかる。

しかしぼくの考えは違った。



音楽によって、
観る者の心情をコントロールできる。

それはね、わかるのですよ。
ぼくは音楽作ってたこともあるし、
コンサートの演出の仕事してたこともあるから。


でもね、
少なくとも僕が映画に求めるものは、それじゃないのだ。


ぼくは昔から基本的に劇伴が嫌いで、
いや、
嫌いは言い過ぎかも知れん。

劇伴が不要と思っていて。

うん、こっちのほうがしっくり来る。


この映画をきっかけにその理由を再度深く考えたんだけど。
ああ、そうか。

たぶんぼくは、
「映画を外から観ている人」ではなく、
「映画の登場人物」でありたいのだ。
登場人物の誰かに感情移入していたいのだ。

当然、
ほとんどの場面では、
本当はあんな劇伴なんて流れていないのだ。
劇伴はあくまでも映画というパッケージの一部であって、
誰かが誰かを憎む瞬間も、
誰かが危機に陥る瞬間も、
誰かが誰かに恋する瞬間も、
誰かが何かを成し遂げる瞬間も、

実際にその場所では、
あんな音楽が流れているわけではないのだ。

ぼくはその場所の、
その空気の中に登場人物としていたい。
だからなのだ。



映画を、映像も、音楽も、全て含めたパッケージとして、
「鑑賞」して楽しむ人もいるのはわかってるし、
むしろそういう人が多いだろってのもわかってるから、
だから劇伴を否定するつもりはないのだけれど、
でもやっぱりね、

このドキュメンタリーで、
劇伴ってすごいぜ!
劇伴こそ映画の肝!
って主張されても、

ぼくには響かなかったな。



ただ、
ぼくも音楽作ってたことある身だから、
音楽を作る現場を見ることができる。
という意味ではすごく目鱗な映像すぎたんだけど。

オーケストラの作曲をさらっと書けるとか、
練習なしで譜面見て一発で合わせるとか、
プロのヤバさが天上人すぎてもうね!


極限プロのお仕事集としては見応えありおりはべり。
好き嫌いじゃなく、
すごいものは、すごい。

それでいいのだ。
だい

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