クシーくん

サム=サマンサのクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

サム=サマンサ(2017年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

女性を性欲処理の道具ぐらいにしか考えていないエリート下衆男がある朝突然美女に変わってしまった事で巻き起こる騒動を描いたロマンチックコメディ。
安っぽい演出に雑なカメラワーク、脇役の演技が色々酷かったり、2017年の映画とは思えないレベルのジェンダー観というのも正直否定出来ないが、割りと好き。

美女と野獣やマイ・フェア・レディ、その他色々な過去の作品からパク...要素を取り入れてる作品で、TS後に起こる騒動などは正直想像の範囲内ではあったものの、後半しっかり恋愛を描いていたのは好感が持てた。

主役のナタリー・ネップは初めて知ったが、とてもキュートで演技が良い。御本人自体は所謂正統派の美人ではないんだけど動くととても魅力的。女を見下してたサムがサマンサになった時の抜けきれないガサツさをしっかり再現、性転換物でありがちな違和感を払拭していた。
サマンサになってからの周囲の変化は勿論、サマンサ自身の心の揺れ動きなんかも思わず彼女を応援したくなってしまう程、引き込まれる良い芝居。この映画はナタリー・ネップの魅力による牽引がなければ正直最後まで観られなかっただろうと思う。

顛末が恋愛映画になってしまった事について、人によっては意見が分かれそうな気もするが、サマンサの心情の変化と過程を丁寧に描いていたので、私としてはそこに異論はなかったし、ハッピーエンドを快く迎えられた。少しマーガレットが気の毒ではあるが。
ただフェミニストからは激怒されそうな内容な気がする。

場面転換の際のブラックアウトや「ある筈の物がない」時の演出など、チープな部分が目立つが、時折挟まれるニューヨークの映像だけは妙にムーディーで良い。特に最後の冬のNYCが美しい。まあこれは撮り方がどうこうより素材が良いだけかも。
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