オクターヴ

ランドシャーク / 丘ジョーズの逆襲のオクターヴのレビュー・感想・評価

4.1
オープニングとなる夜の遊園地のロングショットを観れば、これは間違いなく映画がわかっている者が撮っている画面だとすぐにわかるはずだ。次に薄暗い砂浜を一人で歩く水着姿の女を画面の中央に置き、これが最初の犠牲者であることを約束する。サメ映画における大事な条件の一つに犠牲者が誰になるか?がある。それは確実に後味が悪くならない者たちでなければならない。そのルールに従い、どんどん犠牲者が増えていく。定番ではあるが、この定番があることで、陸にサメが現れるという設定さえも違和感なく展開されていくのである。主役の二人がサメ退治の道中で同じ宿に泊まり一夜をともにするシーンがある。しかし、年齢が近い男女間にあるはずの緊張感はない。男が海洋研究所に勤務することになる話など観客の誰一人として興味はないのだが、この会話が終わるとサメを探知する音が再び始まってしまう。貴重な休息時間なのだ。また、ルシンダのシャワーシーンには素晴らしいものがある。ここで退場か?と思わせたが、なぜ助かったのか?または錯覚だったのか?何も起きないという意味では「サイコ」より好きなシーンかもしれないし、このシーン一つにしても、まったく手をぬいていない映画であった。