回想シーンでご飯3杯いける

信じる心、危機一髪の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

信じる心、危機一髪(2015年製作の映画)
3.3
宗教による偏見や差別をテーマにしたインド映画。同じテーマの作品として「PK」や「オーマイゴッド」があるが、こちらはよりインド国民の視点に基いて作られた印象がある。

熱心なヒンドゥー教徒である中年男が、実はイスラム家系の出身で、家が貧しかった事から生まれてすぐにヒンドゥー教徒の家庭に引き取られた過去を知り、両宗教の板挟みになってしまうという話。「生物学的父親」に会うためにはイスラム教の修業を積む必要があり、その過程で主人公が、イスラム教にもヒンドゥ教にも、根底の精神に大きな違いが無い事を知り、インド国内で争いが絶えない現状に疑問を持つようになる、、、とプロットはかなり面白そうに思えるのだが、、、。

全体として台詞が説明的で「PK」のように直感的に楽しめる要素が非常に少ない。そもそもヒンドゥー教とイスラム教の違いなんて、僕達日本人は知らいないわけで、例えば服装の違いで互いを軽蔑するようなシーンがあったけれど、僕から見て服装のどこが違うのか良く分からない。こんな感じで、作品全体のノリから置いていかれるような場面が何度もあった。あくまでもインド国内での興行を前提にした作品という事なのだろう。インドの宗教事情に明るくない僕のような人間にはややハードルが高い。

それでも、インド国内では宗教の違いが、まるで民族の違いでもあるかのように捉えられている事など、勉強になる部分は多々あったので、リアリティーを重視する人には「PK」以上に響く作品なのかも知れない。