タマル

血染の代紋のタマルのレビュー・感想・評価

血染の代紋(1970年製作の映画)
3.6
 三池崇史の『悪の教典』の時に同じようなことを思った。深作欣二は大好きな監督だけど、脚本はイマイチだ。登場人物が今何をしていて、何をしてきて、何をしようとしてるか、全部セリフで説明してしまう。効果的な言葉で端的に伝える自信がないからか、文の後半、つまり動詞部分をチョン切ったようなセリフが目立つ。三池脚本も全く同じようなことをしていたので、やはり、監督能力と脚本のそれは別のものなのだろう。
「金、金金、金さえありゃあとほんとに血の涙流したぜ俺ァ」
てそれ、この話のテーマだろ。あんまりテーマを台詞でいうものじゃないよ。
「あのドブネズミみたいに、薄汚く踏み潰されてくだけなんだ!」→踏み潰されたドブネズミにズーム
って、監督業まで下手になってるじゃん。

しかし、乱闘シーンは軒並み素晴らしかった。特に、ラスト3分の建設記念パーティーの襲撃は思わず拍手が出るほど。空撮で終わるところがたまらない。『仁義なき』以前の、高倉仁侠の強い影響下にあって、話自体はさして面白くはないが、ところどころで強烈なイメージを残す佳作だった。

菅原文太泣いてたなぁ。似合わねー(笑)
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