天豆てんまめ

終わった人の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

終わった人(2018年製作の映画)
3.8
現代コミカル版「生きる」とも言えるような悲哀と希望に満ちた老いの道。
舘ひろしのコミカルな味わい深い演技が最高だ。
この作品の監督が「リング」の中田秀夫監督ということに驚く。
彼の最高傑作かもしれない 笑
というか、ホラー映画が苦手な私にとってはこうした人情喜劇をうまく仕立てる意外性が何だか嬉しかった。

大手銀行の出世コースから子会社に出向し、そのまま定年を迎えた舘ひろし。自身はもう「終わった人」と途方に暮れる。美容師の妻は、かつての輝きを失った夫にうんざりな気持ち。


定年後の濡れ落ち葉雰囲気の舘ひろしの「死んだような眼」の日常、どこに行っても昼間暇な老人ばかりに、まだまだ終わりたくない彼は恋に仕事にあがく。ロマンスの兆しの相手の広末涼子や、夫との距離に葛藤を抱える妻の黒木瞳もなかなかいい。大手銀行の財務をしていた手腕でIT会社の顧問になるもそこで一波乱が起きる。普通ならば青ざめるような状況でもどこか達観している舘ひろし。ラストの余韻も良かった。

人生100年時代の「ライフ・シフト」な未来を自分はどう過ごしたいのか、今、20歳ならあと80年も人生あるよ。40歳でもあと60年、どう生きるのか私的なその先へ、ニヤニヤ身につまされながら楽しめた。