シャチ状球体

夜が明けるまでのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

夜が明けるまで(2017年製作の映画)
4.1
恋愛に年齢は関係ない。でも、歳を重ねれば望まなくとも孤独になりやすくなる。
他者は自分の心の穴埋めのための存在ではない……と頭ではわかっていながらも、結局のところ人間関係は等価交換なのである程度は寂しさを埋め合うことが目的となっていることもあり、それは互いの合意があれば責められるいわれはない。

ルイスとアディの会話は出会いと別れ、喪失と再生を経験した者同士の奥行きがある内容。
いくつになっても訪れる始まりと終わりの循環、過去との対話。
劇中では悪役扱いに近いジーンも、深夜までお酒を飲み続けるほど心に傷を抱えている。例え失敗を重ねたとしても、生きている限りやり直すチャンスは誰にでも与えられているものなのだ。

あと、高齢の男女が主人公だけど二人の死については殆ど触れられないのがこの映画の一番の魅力だと思う。生きているこの瞬間をいかに充実させていくかが優先順位の一番上にあるような温かい世界観が素敵すぎて、こんな年の取り方をしたくなった……と同時に、この世界が映画の外にもあってほしい。
シャチ状球体

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