えぇーとですねぇ、アタシもこういう趣味なものだから怖い映画をつい、観ちゃうんだな、ええ。
とある人が主人公の話なんですがね、仮にこの方をAさんとしておきましょうか
Aさん、いつも夜遅くまで仕事してるんだけど、この日は特に遅くなっちゃってね。時計の針は真夜中をとっくに過ぎてる。これじゃあタクシーも拾えない。仕方ないから歩いて帰るかってんで、たった一人で、てくてくてくてく真夜中の町を歩き出したんだそうです。
普段ならこんな時間でも何人か人が歩いてたりするんですけど、その日に限っては、どうしてか町に人影が無い。車も走っていない。野良猫すらいない。だあれもいないんですよ。
暗~い夜道はAさんの足音しか聞こえないんだ
なんだかさみしいな~、怖いな~
気のせいか空気まで生暖かくなってきた
変だな~、変だな~
Aさん、足早に家に帰ろうとした
そしたら突然「きゃあああああ」って女の声がした。Aさん、一瞬「あれ、おかしいな~?」 くらいにしか思わなかったんですよ 。空耳かな~って。でも確かに聞こえるんだ。女の悲鳴が。
やだな~、やだな~
Aさんね「厄介事に巻き込まれたくない」真っ先にそう思ったらしいんですよ。でもこんな真夜中に女が悲鳴あげてる、こりゃ大変だってんで考えるのをやめて、声のする方に向かって走り出した。前につんのめりそうになりながら走ったんだそうです。
走って、走って、走って、息を切らしながら角を曲がったら広場に出た。そしたら女が男に襲われてるのが見えた。
やっぱり。
そこからは、もう無我夢中で助けた。あんまり夢中だったから、どうやって助けたかなんて覚えちゃいない。
それで助けた後に気づいた。この女、なーんか妙だなあ?なんだろな~、よく見たらなんだかおかしいんだ。
胸がはだけてる。
きっと男に襲われたんだろうな~。なんだか可哀想になってね、Aさん、女に背を向けて着ている上着を差し出したんだ。
そしたら反応がない。
な~んか妙だ?なんだろな~って振り向いたんだ。
見た瞬間、背筋がゾクっ~…ってしましたよ、ええ
ありえない!ありっこないんだ!!
女だと思ってたのが鳥だったなんて!
一目でわかった
この世のモノじゃない
「うわ~、嫌なもの見ちゃったな~」って思いましたよ、ええ。
それからAさん…
この後…
この鳥を家に持って帰ったんだそうです。
なぜこの時、家に持って帰ろうなんて思ったのか、いくら思いだそうとしてもぜんぜん思いだせない。世の中、不思議なこともあるもんだな~ってAさんそう言ってましたよ、ええ。
やがて自分の家についたAさん
さっきの広場からそんなに離れていないんですね
近所なのに物騒だな~、なんて思いながら、Aさん、ドアをイイイィィィ・・・って開けて家に入っていったんだ
でっかい鳥を抱きかかえたまま…
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本当に怖いのはここからなんだけど、おかしいな~、おかしいな~、このショートフィルム、9分くらいしかないのに、稲川さんの口調でレビューしようとしたら、ぜんぜん書き終わる気がしない。だからこの辺で止めときます。雰囲気のある怖い映画でした。この映画、ネットに転がってるんで、興味のある方、続きはWEBで。