赤い男は全てを叶えてくれた。
色のない世界から鮮やかで華やかな世界に誘われ、何もかもが思い通りになるような、そんな気がした。
赤い男は最後に僕の影を欲しがった。
嫌だと言ったが強く欲しがった。
僕は欲望に負けて遂に影を手放してしまったのだ。
ジョルジュの作品の中でも結構好きなやつ。
感覚でわけわからないままに没入させていく他の作品よりも、こちらはけっこうストーリー性があって壮大です。
数々の映画の賞も受賞しており、ジョルジュ・シュヴィツゲベル監督の代表的な作品と言ってもいいのかもしれません。
目の前の欲望に負けて影をなくした男=居場所がなくなってしまった男
の残酷な物語をジョルジュらしいダイナミックさでみるみる引き込んでいく本作。
精緻に織り上げられた哲学的な世界がなんとも心地いい作品です。