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映画ドラえもん のび太の宝島のSRAWのレビュー・感想・評価

3.0
非常に惜しい作品。

まず、映像の質はとても高くて大満足だった。F作品らしさの溢れるコミカルな動きを終始心がけていて、また作画的見所が非常に多かったと思う。

音楽についても、流石にベテランの方を引っ張って来ているだけあって、リッチな仕上がりになっていた。ただ、沢田完さんではなかったこともあって、「ドラえもんらしさ」に少し欠けるものだったように感じてしまった。

ストーリーについてだが、脚本家の想いの強さは伝わってきて良かった。しかし、脚本初挑戦ということもあってか、全体的に拙さが目立ってしまっていたのが残念だ。
台詞回しやそれに伴うキャラの造形に至らなさが否めなく、「ドラえもん」としての一線を超えてしまうような危うさがあった。
脚本補佐などの配慮をすれば上手くまとまっていたのかもしれないと考えると、製作側の至らなさが思いやられる。
また、今回は随所に過去作品のネタや定番の流れを仕込んでいたが、それもあざとさが否めない上に中途半端であまり良い心地がしなかった。
ハッキリ言って蛇足である。
それに限らず脚本は全体的にもう少し取捨選択をすべきだったし、ネタを入れるならもっと突き詰めて欲しかった。

といっても、ラストシーンは自分自身と重なるところもあってかとても刺さるものがあり、それだけで十分満足できた。
また、コンテ演出が非常に上手く、それが脚本の拙さもカバーしていたので妥協点といった感じだ。

来年の映画ドラえもんにも期待したい。
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