Hotさんぴん茶

JUNK HEADのHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

気持ち悪い描写が多く個人的に苦手シーンはあったけど。それがなきゃこの作品の魅力は激減するから必須なんだろう。

全体的に非常に凝った造りの作品で目が離せなかった。ジオラマやハンドメイド、コマ撮りアニメーションが好きな自分からしたら、好奇心が発動するポイント満載の映画だった。この世界に入り込んでキョロキョロと眺めたいような気分だ。(ただしその場合、クリーチャーとの遭遇だけはごめんだ。切実に😅)

世界観とその風景が綿密に構築されており。そのおかげで作品のストーリーに没入できた。
空間やキャラクターの造形の細かさ、コマ撮りの滑らかな動き、惹きつけられるカメラワーク等々。驚かされること多数!そのため気付けば途中から、口をポカンと開けたまま鑑賞していた。

世界観のベースはディストピアのなかなか暗いものである。
でも実際の展開では和んだり笑える点もチラホラあるのがよかった。

例えば主人公ロボットや、この世界の子どもたちの顔には親しみが湧く。ぷっくりほっぺが可愛く癒される。
(ただ子どもの言動がけっこう荒んでる。それにより笑えたり辛かったりした。笑えたのは、ツッコミ的場面で。辛い点はイジメ描写。)

主人公による、突然のたおやかなバーチャル社交ダンスや、
凸凹三人衆の、わちゃわちゃしたチャンバラなどが面白かった。

気持ち悪いと感じたシーンは、ショッキングかつリアルで。目を覆いたくなるほど。それだけ作者の思い入れを感じた。

特にクリーチャーの捕食シーンは、かなりリアルで気持ち悪い。

例えばクリーチャーがクリーチャーに襲われてるメチャメチャなシーン。人間っぽさもある生物がもう血だらけで。正直これは見ていてキツいほど。そのシーンの間自分は、これは作り物、作り物と心の中で唱えたレベル。でもそれは、それくらいシーンの完成度が高い表れだな。

またそれを差し置いて最も気持ち悪かったのは。クノコとか言うこの世界の食べ物の採集シーン。プルンッ、プチッと言った擬音が鳴りそうな感じで(実際鳴ってたかも。)店員的な生物が軽やかに採っていく。その植物が生ってる場所が、明らかに人間の背中みたいで。かなりかなり気持ち悪いぞこれは!…この世界の住人には、これがとっても美味しそうな様子なんでしょな😱!?
これは本当生理的に無理なので、あーこの世界ではこれが美味なのね。ヘェ〜、と完全に距離を取って眺めてしまった笑。

クライマックスでは、かっこいいアクションやら笑いやら悲しさやら。色々同時に来る展開で。それと同時にメキメキと、キャラクターの魅力がアップしていった。

これだけの迫力を粘土やら様々な手作り品で生み出したのは、本当にすごい執念。そして同時に、作者本人が非常に楽しく作ってるのがとても伝わってきた作品。

続編も(半分怖いもの見たさで)チェックしたい。

■後になって連想したメモ↓:

・この作品の世界についてぼんやりと、思いを馳せてみたらなんだか。現実の人間世界も、良くも悪くもまあまあグロテスクだし一寸先闇なこともあるなと。この作品が、どこまで行っても人工的な空間+生き死にを感じさせる世界だからより一層かな。

・工場が爆発するときに、その建物がくしゃみ?みたいな音を出していたのが気になる。この作中世界自体が、実は人間だか生物、みたいな暗示にも見えた。

・あの変な、腸なのかヤスデみたいな虫が不気味。怪しい血管のようなセンサーを張り巡らせて、誰かがふと引っ掛かるとやってくるという…。

・世界が荒廃して、人間だけ生き残る世界だと行き着くところは共喰い的世界?怖!と思わされる作中世界。この作品に出てくる生物マリガン?は全員、人間または人間の一部みたいに見えた。これら生物は人間の遺伝子操作技術が行きすぎて、変になっちゃったのかな。この世界の木、すらなんかこの生物だし。

・この作品と関係ないけど、個人的に勝手に連想した似た?世界観の作品。

→前youtubeのゲーム実況、で見つけた幻のゲーム、ガラージュ。
→星新一。(まんまsfだからってのもあるけど、ユーモアと皮肉混じってたりする感じとか。)