どらこ

JUNK HEADのどらこのレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.5
完成までに7年もの月日を要した狂気の作品。
1時間40分もの時間が、ストップモーションで描かれる。


核戦争後の人類が労働力を補うために作り出した人工生命マリガン。
やがて彼らは人類に反旗を翻し戦争を起こし、地上世界は人類、地下世界はマリガンという構図が出来た。
数千年後人類の代表が未開の地となった地下世界を探索するという流れ。


う〜〜んすごく良かった…
話の内容はそこまで深くなくシンプルで単調ではあるが、コマ撮りの表現力と、キャラクターや背景美術のディティールの細かさがハンパなくて、もう映像を見ているだけで楽しい。

青空が冒頭以外出てこなく、常に狭く薄暗い息苦しい空間がたまらない。
この地下空間に底はあるのか?一体主人公はどこまで落ちていくのか?

そして闇に蠢く無数の化け物たち。
物語が進むたびに不安になる。


どこまでも続く地下って怖いよね。。
どんどん照明暗くなるし。

ただ、全体的にセリフやキャラクターたちが愉快なので、明るめのテイストと暗めの舞台のコントラストがすごくマッチしていた。
雰囲気的にはドロヘドロに似てるかも。

地下世界の住人にもカーストのようなものはあり、上の層だと電力が供給され知性もはっきりあるのに対し、最下層付近では暗闇の中で被差別者である奇形や、知性を持たない捨てられた子供、半分化け物になった住人たちが溢れかえっていた。

こういう細かなディティールがたくさんある。

クリーチャーやマリガン達のキャラデザインが最高。
主人公は合計6回も顔が変わる。アンパンマンばりに変わる。
個人的に頭部だけとなった人類の着ぐるみが雑な人形風なのに対し、
その素顔が妙にリアルでキモくて不気味だった。目が死んでるし焦点合ってないし。。

そして3バカが狂おしいほど好き。まさかあいつらに泣かされるとは思わなかったww


技術的な面では、やはりコマ撮りというのは死ぬほど大変なんだな〜と。
普通コマ撮りというのはどうしても動作がカクカクしてしまうのだが、
この作品はすごく滑らかに動く。一秒間に24枚もフレームが使われているというのだから納得。
一番大変なモーションは歩行というのも印象的。

スタッフロールの少なさもびびった。ほぼ一人やんけ….

これを劇場で見た人は絶対パンフレット買った方がいい。



この作品でトップクラスに気持ち悪いのは人体に生える「クノコ」です。食べたい!!


冒頭10分のみYouTubeで無料公開されてます!!!
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