ねぎ地獄

JUNK HEADのねぎ地獄のレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.5
🎥あらすじ:
人類は遺伝子操作によって不老不死の能力を得ましたが、代償として生殖能力を喪失。その能力を取り戻すべく、主人公は未知の生物、マリガンの調査を目的に地下世界へ。
が、地下世界は危険が多く調査は難航。主人公が奮闘する姿が描かれるSFストップモーション・アニメーション。

✍️感想とその他メモ:
タイミングが合わず劇場で観ることが出来なかった作品。ストリーミング配信が始まっていることに気が付き慌てて鑑賞。
これは劇場で観たかった!!!!!!!
本当に、本当に、悔やまれます…。ライムスターの宇多丸さんが「後々、リアルタイムで映画館で見たことを、何年も自慢できる代物なので。いいからこれは行っとけ!」とラジオで語っていらっしゃいましたが、まさにその通りです。

スチームパンク感、グロきも(かわいさあり)キャラクターという独特の世界観に抵抗を感じる方もいるかと思うのですが、随所にふふっとなる笑い、そして主軸はある種王道の冒険物なので、絶妙なバランス感を持った作品だなぁと思いました。

堀貴秀さんが監督、脚本、撮影、編集、デザイン、声優などなど、ほぼ全てのことを7年もかけてお一人でされていたので世界観はもう…偏りまくりと言ったらそうなのです。スチームパンクのインダストリアルな世界に、目がないキャラクター、そこそこ流血したりグシャッとなる。非現実的な堀ワールドですが、堀さんがお一人で手がけてきたからこそ、一本芯が通った世界観として違和感なく受け入れることができた気がします。

そうした世界観の中で、さらにハラハラさせられながら観るのかと思いきや、想像以上にシンプルな笑いどころも満載。さらに会話もオリジナルの謎言語で繰り広げられ、字幕で追っていく形式。不思議な語感で遊んでいる点が◎。個人的には「ったぁー♡おっぽんちょ!(字幕: ねー♡職長!)」が何度も脳内再生されてしまうほど深く刻まれたお気に入りです。

孤高の監督が作るオリジナリティ溢れる作品ですが、筋書きは桃太郎。シンプルに冒険物というところでエンターテイメントとして素敵でした。また、世界が階層になっていて下にいる人を上の人は知らない、その逆も然りな『プラットフォーム(2019)』的な構造も、現実社会の風刺を感じましたし、あと2本続編があるようなので展開が楽しみです!


宇多丸、『JUNK HEAD』を語る!【映画評書き起こし】
https://news.radiko.jp/article/station/TBS/53880/
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