CANACO

JUNK HEADのCANACOのレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.0
2017年製作、2021年公開というだけで何かがおかしい感があるけど、この作品が多くの人に見てもらえるようになったことがすごくうれしい。昨日観たばかりのにわかだけど、観てよかった。

原案、脚本、製作、各キャラクターの声にいたるまでほぼ全部1人で、約100分を7年かけて製作したストップモーションアニメ作品。堀貴秀さんは自営で内装業を営んでいらっしゃるらしい。

私はホラーが苦手でサイコスリラーやサスペンスは好きな人だが、笑いのセンスと可愛さがストライクで、悪い意味でのキモさや怖さはなかった。

「人類は不老不死を手に入れた代わりに生殖機能を失った」と、本作はいきなり斜め上から入る。ならば人口は増やさないほうがよいのだが、新種ウイルスにより30%人口が減少したことで危機感を感じた人類は、人工生命体「マリガン」を思い出す。人類が創造したにもかかわらず反乱を起こされ、いまは地下で増殖している「マリガン」に可能性を見出し、地下調査員を募集。それに応募したリモート社交ダンス講師の物語。

……主役が社交ダンス講師っていうだけで“おかしい”(褒)けど。本作はただ異常な技術と集中力と完遂力がある人が作った作品ではなく、全編通じて笑いのセンスに溢れていて、キャラクターの書き分けもすごい。だから世界レベルで評価されているのだと思う。あのエンドロールも笑わせようとしてるんだと勝手に思ってる。

セリフは複数国の言語をミックスさせているが、昔のゲームの『MOON』等ラブデリック作品を(勝手に)思い出させてくれるので素敵。「ペッコンチョ」と「ホクロ」だけ完璧に聞こえるのもわざとだと勝手に思ってる。

『エイリアン』等の影響はいろいろなところに書かれていると思うが、黒い3バカトリオはガイ・リッチー作品、終盤は『里見八犬伝』を想起させた(これも個人の感想)。でも映画好きな人ほどもっとたくさんの作品が浮かぶはずで、そのくらい語りがいがある作品だと思う。

次作は2024年完成予定の『JUNK WORLD』らしいが、仮に2017年からお一人で製作を始めてたとしたら(←勝手な仮定)やはり7年。3部作なので完結編もお一人で7年かけて製作したら計21年の鬼超大作。ほぼ1人でそれだけの年月かけて製作した3部作は世界にないのでは。期待しかない。
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