レッドキング

累 かさねのレッドキングのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
3.8
顔の傷のせいで散々な目に遭ってきたが、演技力は抜群の累。
容姿端麗ながら演技力はイマイチのニーナ。
母から譲り受けた、顔を入れ替えることができる口紅で口づけを交わした時、完璧な丹波ニーナが誕生する。

誰しもが一度は描く劣等感。
「何者かになりたい」という原動力の無限性と狂気がまさに紙一重であることを叩きつけられます。
今まで顔の傷のせいで辛酸舐めてきた累が、「何者かになりたい」という思いを原動力として女優の才能を開花させる、というプロットもお見事。
累もニーナも自分にないものを求め続けていたという意味では同じだったのかな。
最後のカーテンコールで二人が得たもの・失ったものとは。

土屋太鳳×芳根京子の怪演が光る。
お互い一人二役で演じているわけですが、劣等感を抱いてきた累と優越感を味わってきたニーナの演じ分けが凄まじい。
なんなら最後は戯曲「サロメ」も演じているわけだから、一人三役とも言えるんじゃないかな。
土屋太鳳もインタビューで「累を演じている時の感情と、ニーナを演じている時の感情をすべてノートに書き留めていた」と話してました。

土屋太鳳を初めて観たのは10年前くらいにウルトラマンの劇場版でお姫様役をやっているのを観てから。
その後もドラマやCMでも見かけるようになりましたが、どれも明るく清楚で爽やか!というイメージだったので
本作での優越感満載のイヤミな性格からサロメを通じた妖艶な演技で、振り幅に驚かされました。
清楚から一転、イヤミになっ太鳳!
横山裕が割と真面目な役で出てるんですが、YouTubeや Instagramのショート動画に出てくる「空耳英語」のイメージ強すぎてずっとニヤニヤしながら観てしまいました。
ゴメン横山くん。
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