えるどら

累 かさねのえるどらのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
3.3
演者は良いんだけどなあ

大好きな漫画の実写版。
俳優さんたちはとてもいい。羽生田や烏合は雰囲気まで似てて良し。個人的には累役の土屋太鳳が累やってるときが良かったと思った(叫ぶ時以外)。

ニナが倒れて羽生田に顔を持たれて鏡に突きつけるシーンは原作でも印象的に描かれているんだけど、映画でも上手く表現されていたように思える。
サロメのダンスも素晴らしい。

以下、不満点。主観なので許してね。

改変された脚本。なぜあんなに面白く、なおかつ実写向きの原作を変えるのか。尺の問題?ターゲット客の問題?原作ファンが実写版を見るべきではない理由であり、漫画を日本で実写化するのが不可能に近いと思う理由でもある。

ニナのキャラ。なんであんなThe悪女みたいなの…。最初から敵意丸出しだし。悪女VS悪女、女の敵は女みたいな話じゃないと思うんですよ。
烏合とのキスシーン長めだったし結局主婦層みてんだとしたらそっちのが受けんのかな。

累の敬語。累とニナはお互いに自分の利益のためにやっているという前提が欠落している。ニナのキャラと対比させているのかもしれないが、累の光に対する執念の描写が少ないためただ振り回されてるだけに見えた。それとも話し方変えないと視聴者がどっちがどっちかわかんなくなるから??

母の呪い。尺の都合で仕方なかったんかな、母・透世の呪いがすごく中途半端になってた。原作では書かれているキャラの心情の吐露が少ないため(表情でみせるため?)、キャラが何を考えているのか断言しにくい。それも相まって母の呪いは余計意味不明のものになりがち(なんとなくわかるんだけどね)。
ニナの母に関しては…尺の都合やろね。あの落とし込み方は良いと思った。

甲高い声で叫ぶシーン。「やめて(普通)…やめて!!(ヒステリー)」とか「でてって(普通)…でてって!!(ヒステリー)」とか。「アハハハッ!!」みたいなわざとらしい笑いとか。キャットファイトみたいなのも見てて吐き気がするし、もう少し現実的な言動にしようよ。スクリーンの中のステレオタイプの女性をこの映画では見たくなかった。
古臭くて雑な演技も酷いけど、それをさせる監督と脚本も酷いでしょ。

あとサロメの舞踊はワンカットで見たかったかなあ…
監督さん頑張って。
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