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犯罪の女王のmaverickのレビュー・感想・評価

犯罪の女王(2016年製作の映画)
3.7
日本以上に苛酷と言われている、韓国の受験戦争の問題性を描いた作品。高校、大学受験ではなくて司法試験ではあるが。受験を題材とするだけではなく、違法まがいの商売が横行する韓国ビジネスの問題点にも触れている。司法試験を目前に控えた息子を持つ母親が主人公。お節介焼きで時に気が強い性格だが、優秀な息子を溺愛している韓国の割とどこにでもいる典型的な母親だ。ある日、息子から連絡があり、今月の水道代が高額で払えないから代わりに払っておいてくれと頼まれる。そのあまりの金額の高さにおかしいなと思い、息子がトラブルに巻き込まれたのではないかと考える。心配して息子の元を訪ねるが、勉強に集中したいから金を払ってさっさと帰ってくれと追い返されてしまう。納得がいかない母は独自に調査を始めるのだった。キャラクター描写や、テンポがコミカルなコメディ作品なのだが、真相を暴いていく下りはミステリー的で、時に怖さを感じさせる。生々しい描写も特徴的で、公判はもうホラー映画に近い。生々しさというのは韓国映画作品の特徴ではあるが、本作では特に顕著だった。この生々しさがリアルな質感でもあり、やりすぎなくらい嫌悪感をも感じさせる。こうまでして受験が大事なのかと思わずにはいられない。本作の感動的な部分は、母の息子を想う愛が描かれている所である。親ってやっぱりありがたいな、大事だなと誰しも思うことだろう。親の愛って当たり前のように思ってしまうけど、改めて感謝しなきゃいけないなと思う。個性的なキャラクターの中で一番強烈で、なおかつ韓国の母とも呼べる女性を演じたパク・チヨンに心癒される。402号室の引きこもり女性を演じている女の子がどこかで見たなと思ったら、『ハイヒールの男』のヒロインを演じたイ・ソムという子だった。個性たっぷりなかわいさなので覚えていた。いろんな個性を持った役者がいて、みんな上手いし魅力的。作品も様々で韓国映画は面白い。本作も社会問題をテーマとしつつ、感動的な作品に仕上げてあり、なおかつ個性的でおもしろかった。
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