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ミスター・ノーバディのmatchypotterのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
3.8
先日観た『神様メール』と同じ監督。
あれがなかなかテンポ良くて面白かったのと、このビジュアルと話が気になって。

この主人公、ジャレットレトじゃない。
ジャケット写真がアップ過ぎて気付かなかった。
『モービウス』の彼。今回はすごく落ち着いている青年。めちゃくちゃカッコいい。

ジャケット写真もさることながら、このSF設定でとんでもないおじいちゃんになってるもんだから余計にハッとする。

近未来。
人類は“死”を超越し、不死を手に入れた。
この主人公のおじいちゃんはそんな世界で“最後に死を迎える人間”。
だからこの世界的にはかなり注目されている。
「ついに“最後の死”が来ますね」と。

彼はもう118歳になっており、もうその時は間近。しかし、記憶も曖昧になってきている。
そこで医師が催眠療法を施し、彼の過去の記憶を呼び覚ます治療を施す。

彼は“死”を目の前にして、過去を断片的に思い出していく、、、。

この映画を観て思うことは、やはり、人は“生”があって、“死”に向かって生きるからこそ、小さなことや、人生の浮き沈み、多くのことに想いを巡らせるんじゃないか、ということ。

永遠には生きられない、だからこそ、喜怒哀楽、辛いことも飲み込んで、やり直しが効かない一度きりの“終わりが来る”旅をもがき苦しみながら、何かを探すように生きるんじゃないだろうか。

この老人は、混濁とする過去の記憶を遡る。
不遇なこともあり、悔いが残ることもある。
本当はこうだった、こうしたかった、あんな風になりたかった、、、。

それを実際の事実と、願望、もしくは、色んな人生の岐路を反芻していく。

このアンナ役の女の子もとても可愛くて奔放な感じで魅力的。

人生はうまくいかないことの方が多い。
だからといってやり直せるわけでもなく、時間は止まってもくれず、思い通りになんかならない。

嫌なことだってたくさんある。悔いがあることを挙げたらキリはない。

だけど、だけど。
それは、生きているから。死があるから。
切なさも、やるせなさも、絶望も、無気力も、悔恨も。
終わりがあるから必死に思い悩み、出口を探す。気持ちのやり場を探し、折り合いをつける。

そして、それは輝くことだってある。
人生は尊い。死が来るその時まで、決して戻ることのできない一方通行の旅を生きる。

なかなか話の進み方が独特なので、よそ見しているとこんがらがってくる面はある。
だけど、この進み方だからこそ、味わえる人間味がある。

自分の人生に悔いがないと思える最後の瞬間になると良いな。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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