KnightsofOdessa

ミスター・ノーバディのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
5.0
[Schrödingerの猫と人生の選択] 100点(ATB1位)

見た動機は"題名カッコいい"というアホみたいなものだったが、結果として映画人生が拓けたのだからドルマル監督には感謝している。想い出記録。

①Schrödingerの猫
箱の中に猫と原子崩壊を用いて猫を殺す装置を入れる。すると、一定時間後に猫が生きているか死んでいるかは開けてみないとわからない。これが量子力学の基本的な考え方"重ね合わせ"の原理であり、本作品のモチーフである。気がついたら大学で量子力学を学んでいることからも本作品が私の根底意識に計り知れない影響を与えたことが分かる。
本作品は百々のつまり、5歳のニモが選択を放棄した結果残ったすべての可能性を重ね合わせたという映画であり、どれが正しいとかどこが繋がっているとか考えるのは検討違いなのである。パラレルワールド論と決定的に異なるのがその点であり、中心にあるのは"何が起こったか"ではなく"何が起こるか"、過去を思い返してウジウジするのではなく、これからの無限の可能性を提示しているのである。
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