昔の恋人がふと漏らした
“人生は選択の連続だ”って言葉、
あたしはそれを“人生には迷いがつきものだ”と捉え、なんだかひどく悲しい気持ちになったのを思い出した。
選ばない、という選択をすれば、確かにすべては残るかもね。それでやり過ごせるならそれもいいのかもしれない。だけど生きていると人生の別れ道となる場面に立たされる瞬間がやってくることがある。それは自分の意思とはまるで関係のないところで、自分じゃない誰かが選択した結果もたらされるものかもしれない。
どんな選択にも“誰か”が“何か”が関わってくることがある。偶然か、はたまた運命のいたずらか。人生のままならなさを感じることもあるけれど、どの道を選ぼうと、選んだ道で生きてきたことは、すべてが真実で正解なんだ、って思えたら、いまここにいるあたしを、あたしは認めてあげたくなったよ。
「もしもあの時、別の道を選んでいたら」って考えたことがあるの、きっとあたしだけじゃないと思う。違う道を選んでいたら、別の人生を生きる別のあたしがどこか違う場所に他の誰かといて、もしかしたら別のあたしもおんなじように考えることがあったかもしれない。「違う選択をしていたら、どうなっていたのだろう」って。選択次第で人生は変わるし、どんなことでも起こりうるね、何が起きるかなんてことはまるで分からないけど、どんな人生になろうと、あたしはあたしだ。ただ人生に巻き戻し機能もなければリセットボタンもついていないから、二度と戻らない時間の中で、悩みながら選んでは生きていくしかないんだね。“選択の連続”、ああ本当にそうだね。だけど今は悲しくないよ。
