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桜桃の味のaaのネタバレレビュー・内容・結末

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

理由は明かされないが、主人公バディは自殺を手伝ってくれる人を探して車を走らせている。計画は、睡眠薬を飲み夜に穴に横たわり、依頼相手が朝になって来て声をかけて起きたら助ける、起きなかったら土をかけるというもの。報酬も準備しているが依頼はことごとく断られる。最後に声をかけたバゲリという老人が、白血病の孫の治療費の為に本当は嫌だがと依頼を引き受ける。だが彼はあくまでバディに優しく、よく考えろと言う。四季は巡る。全てを拒み、全てを諦めてしまうのか。桜桃の味を忘れてしまうのか、と。自殺を否定して諭すのではなく、本人の意思を尊重しつつ包み込む。行っても行かなくても友達だと。バゲリとの会話で最早生きる決断をしたバディは再度バゲリに会いに行き、土をかける前に小石を投げたり肩を揺すったりしてくれと、必ず起こしてくれと言わんばかりの注文を付けて穴に入る。ここで映画のストーリーとしては終わり画面は撮影風景に切り替わる。ラストは映さず、そしてこれが映画だと強調して終わっていく。良かった、とても優しい映画だった。傷付けず尊重する、愛に溢れるバゲリの優しさが同じように優しいバディに共鳴したんだろう。本当に本気で死にたいなら他人に土をかけてもらうという方法を取らずともいくらでも方法はある。その選択をすること自体まだ余地があることをバゲルはわかったんだろうし、それでも同時に下手に扱うと壊れてしまう繊細なものでもあるからこそ丁寧に丁寧に接してくれた。全部を説明せず、直接的なことを言わないところにこの主題の繊細さがよく表れていて良作だった。
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