湯っ子

桜桃の味の湯っ子のレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.8
キアロスタミは、自身の作品に登場するのは人物ではなく(人の形をした)形象だ、と語っているのだそう。だから、これは主人公バディが車の中で、3人の男の形を借りて、自分との対話をしていたと考えても良いと思う。
バディは死にたかったんじゃなくて、生きてるってどんなことかがわからなくなっただけなのかも。
乾いた土地に落ちる夕日を眺め、穴の中から満月を見上げて、桜桃の味を思い出すことができたかな。

ちなみに、私はバディの車が脱輪した時、画面のまんなかでとても楽しそうに車を押していたおじいさんが、すごく印象に残っている。
アクシデントを笑い飛ばし、困っている人を自然に助ける。みんなでよいしょ、って力を合わせてると、なんだか楽しいよねって感じがよく出ていて好きだ。
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