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桜桃の味の10000lyfhのネタバレレビュー・内容・結末

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

自殺幇助を依頼する中年男性と、依頼を受けた 3人の人物との、主に自動車内で展開される会話劇。シンプルな内容ながら、依頼を受けた三者の自分語りを含む三様の反応や、本筋と関係ない挿入シーン(若いカップルに写真撮影頼まれる等)により、生きづらさもあれどささやかな幸せを楽しんで生きようという人生観が、丁寧に醸成される。ロケーションが素晴らしい。監督のシグネチャであるジグザグの茶色い道、そこを走る車を追う長いカットが美しく、夜はヘッドライトが道を輪郭づけ、夜景も綺麗。画面全体で茶色の崖の一面を捉え、画面中央らへんに駐車してるショットもユニーク。工事現場の向こうの霞(スモッグ?)がかった都市に沈む夕陽の早回し、消灯する窓とドアの外を同時に捉えた家屋ショットなど、魅力が尽きない。ラストはメイキングオヴ映像とも夢オチヴァリエーションの「映画撮影オチ」ともとれる、なんだかずるいメタ着地。エンドクレディットでは、ブルース基調の昭和の日本映画音楽のような折衷音楽が流れる
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