petipetite

桜桃の味のpetipetiteのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.6
自殺を図ろうとする男と
その手助けを依頼される人たちの間で交わされる哲学対話のようなロードムービー。

たとえ喉から手が出るほどお金が必要な状況だとしても、それと引き換えに人間としての尊厳を冒すことはできるのか。

「頭ではなく手を貸してくれ」という男の依頼とそれに対する応答が印象的で〈手〉のもつ暴力性と倫理について考えずにはいられなかった。

国土を追われた者、土埃の過酷な環境で働く者…
今日を必死に生きる人たちの目は輝いて見える、というのはちょっとナイーブすぎるようにも思えたけど、土を耕し、(国)土を作るために直向きに働く人たちの姿や厳しい現実から逃げず直視する彼らとの対話から、都市でマンネリ生きる自分の生き方についても再考させられる作品。
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