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桜桃の味の87のレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.5
ゆっくりと流れる時間と、心地の良い光と情景がすごく落ち着く。

「人間は皆死ぬ運命にあり、人生は選択の連続だというのに、なぜ自分で死のタイミングを定めることだけが絶対の過ちとされているのか分からない」と、私も常々思っていたので、主人公と共にそれぞれに対話について色々と考え、知ることができて良かった。
また剥製師っていう設定が絶妙に生と死の境界に居て良い。

ラストもすごく好き。あの走馬灯のような、一気に映画から現実・作り物・フィクションだという事実に戻される感じ。ただのメッセージに過ぎない感じ。

自殺念慮を持つ人間に対して、「死にたけりゃ勝手に1人で死ね」と思える無慈悲な無神経さを持つ人には、理解不能かつ生涯不必要な映画だろう。オススメしない。

わたしは、死にたくなったらとりあえずこの映画を観る。
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