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桜桃の味のshuのネタバレレビュー・内容・結末

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

バゲリの言った「行っても友達、行かなくても友達」という言葉は、桑の実のエピソードと同じくらいに救いの言葉だった。

自分の頼みを聞いてくれる人を探していた形だが、心の底ではバゲリのような言葉を求めていたのかもしれない。
元気か?から始まり、常に対話しようとしていたことからも、バディは孤独だったことが窺える。
自分の決意をひっくり返してくれるくらいの強烈な、或いは力強い、或いは優しいコミュニケーションを求めていたのかもしれない。

ラストシーンについては非常に賛否の分かれるところだと思う。
僕自身、色々な人の感想や考察を読みながら段々と腑に落ちていく形だった。
単純に物語としての完成度を追求するならきっと我々が期待したような形で終えた方が反応は良かったのだろう。
しかしラストをああいう形にしたのは監督の、物語の外側で実際に生きている僕らへの誠実すぎる態度であったようにも思う。
これはあくまで物語なのだと示すことで、同じように生と死の狭間にいる人たちにも、物語の結末に引っ張られる形ではなく一度切り離した上で改めて現実と向き合う機会を与えようという意思にも思えた。
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