きのぴ

桜桃の味のきのぴのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.8
キアロスタミ監督らしい味わいのある作品。
自殺の手助けをしてくれる協力者を探す主人公。ある者は逃げ出し、ある者は説得を試み、ある者は過去を語る。最後に乗せたお爺さんの話から、生きることの意味について考えさせられた。もう一度好きな食べ物を食べたり、もう一度綺麗な朝焼けを眺めたり。生きていく理由なんて些細なもので構わないんだなって、なんだか自分まで胸が軽くなった気がした。
この監督は人間のリアルな表情を撮るのが本当に上手い。荒凉とした風景にタイヤが砂を轢くざらついた音、そこに生きる人たちの等身大の姿に不思議と引き込まれた。
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