ペプシなカズヒラ

桜桃の味のペプシなカズヒラのネタバレレビュー・内容・結末

桜桃の味(1997年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ずっと気になりつつ観ていなかった映画。

死を望む主人公が様々な人物に奇妙な依頼をするが断られてしまう。
しかし最後に乗せた老人が生きることの喜びを語り始め...

というあらすじだけど、実際に鑑賞すると
老人の話す「生きる喜び」はあまり主人公には響いていなかった気がする。

ところが、主人公の
「返事がなければ?」
という質問に対して放った
「返事をするさ。きっとする。信じてる。」
という老人の言葉で主人公の中の何かが変わったんだと思う。

「きっとあんたに再会できるさ」
という言葉も心に染みたんじゃないかな。

もしこの映画が、
「死にたいと思っていた人間が死にたくなくなる映画」
だとしたらきっとあの場所には戻らないんじゃないかと思う。
だからどちらかというと
「生きることを受け入れる」という解釈が自分にとってはしっくりきた。

最後まで主人公が何に悩み、苦しんでいたのかは明かされなかったけどそれはきっと
「頭で理解したり同情はできても
心の痛みは感じ取れない」
「他人の痛みを感じるのは不可能だ」
というセリフが全てな気がする。

ただこのセリフの面白いところは、
途中までは主人公の諦めを感じる言葉であり間違いなくそのニュアンスで主人公は言っているのに、最後まで観るとこの言葉から
「それすらも受け入れる」という意思を感じること。

全体的にとても完成度が高くて雰囲気もよかった!かなり好き!