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ニア・ダーク/月夜の出来事のYYamadaのレビュー・感想・評価

3.6
【ヴァンパイア映画のススメ】
『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987)

◆本作のポジショニング
 人類 ←← (捕食) ←← ヴァンパイア
人類 ←← (恋愛) →→ ヴァンパイア

〈見処〉
①初のアカデミー受賞女性監督、
 K.ビグローによる「ジャンル融合」
 ヴァンパイア映画
・『ニア・ダーク/月夜の出来事』は、1987年に製作されたホラー・サスペンス。
・本作の舞台は、アメリカ西部の田舎町。ある月夜の晩、酒場へ出掛けた地元の青年ケリブは、路上で出会った美しい少女メイが吸血鬼であることを知らずに、一目惚れする。
・夜明けまでに帰らなければならないというメイに首筋を噛まれたケリブは、自らも吸血鬼となってしまい、メイら吸血鬼一家と行動を共にすることになる。
・一族に加わるためには吸血鬼として人を殺すことを余儀なくされる一方、ケリブの父と妹は行方不明になったケリブの行方を追っていた…(Wikipediaより抜粋)。
・本作は『ハート・ロッカー』(2009)にて、女性で初めてアカデミー監督賞を受賞したキャサリン・ビグローが、単身にて初めて商業映画を監督した作品。
・ピグローは脚本も手掛けており「吸血鬼」ジャンルに「現代の西部劇」と「ロードムービー」ジャンルの要素を取り入れた「ジャンル融合作品」として、長くカルト人気を誇っている。
・なお本作は、公開直前に製作会社が倒産したため、十分な宣伝展開と配給網が確保出来ず、興行的には失敗したが、パリ国際ファンタスティック&SF映画祭ではグランプリと主演女優賞を、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭では準グランプリを受賞するなど、評論家や観客の評価は高く、今でも彼女の最高傑作と挙げられることもある作品である。

②本作とジェームズ・キャメロン
・本作で吸血鬼一家のメンバーを演じたキランス・ヘンリクセン、ジャネット・ゴールドステイン、ビル・パクストンの3人はジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』(1986)でも共演しており、本作でも抜群のチームワークを見せている。
・本作の派手な爆破シーンや上記のキャスティングなど、本作製作に対するジェームズ・キャメロンの関与が噂に登ったそうだ。
・実際には本製作時点でビグロー監督とキャメロンに直接の接点はなく、本作の製作上に影響を与えていたのは、キャメロンの盟友ビル・パクストンであったようだ。
・ただし、ビグローの監督第二作『ブルー・スチール』(1989)の製作中に、主演のジェイミー・リー・カーティスと製作企画中の『トゥルー・ライズ』(1994)について話し合うため、キャメロンが現場を訪れた際にビグローとキャメロンは意気投合。急速に仲を深め、1989年に結婚することとなった(1991年に離婚)。

③結び…本作の見処は?
まさに「掘り出し物の佳作」!
○: 本作で幾度か描かれる「日の出」前後の光彩の演出など、美しいビジュアルが印象的な作品。
○: また、低予算ながら複数回の大爆破シーンなどアクション映画としてもB級感なく、鑑賞出来る。
▲: ヴァンパイア一家には、その能力を誇りながらも、生き血を吸う以外のモチベーションがみられないのが残念。
×: 「こんなシーンあったっけ!?」作品内容に合わないジャケット写真が醜くすぎる。これでは、誰も見なくなる…。
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