メイプルわっふるG

ニア・ダーク/月夜の出来事のメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

3.5
青年カウボーイがナンパした娘は吸血鬼だった。眷属になったものの人殺しができず中途半端なまま。そのせいで仲間たちを窮地に追い込んでしまう。

ランス・ヘンリクセンのおかげで作品がグレードアップしてる感あり。剛毅果断なカリスマ男。吸血鬼ファミリーのビッグ・ダディ。撃たれて口から弾丸吐き出す器用さも。
ほんと犯罪者や悪党のボスが似合う顔。だけど知ったのは『エイリアン2』のアンドロイドという割と頭脳派な役。まぁナイフ芸やっていたし、特撮じゃなくてヘンリクセン自身の技らしいから、本人やんちゃなのかもしれない。

理由説明のない解決法やテンポのおかしなところなどはあるけれど、登場人物たちは皆キャラが立っていて見せ場もある。それもイケてる活躍というのではなく、残念キャラには残念シーンといった当人を活かした見せ場。

人間を脅かす悪い吸血鬼として描かれ、大胆な犯罪を繰り返すものの、しっかりと逃げたり隠れたりするところは現実的。そしてファミリーの絆が深いため、悪役ながらも憎めない存在。
言うなれば、異端なカウボーイを引き入れた吸血娘が一番薄情っぽい。いまだ吸血鬼人生は4年程度だそうだし。だからこそ瓦解を招いてしまったのかと。

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のような耽美な世界観とは違い、人間社会に隠れ潜み、生き延びるために流浪する犯罪者集団。その日常、といったちょっとシリアスなお話。


再鑑賞 2020.09.21 ザ・シネマ