シネマスナイパーF

クワイエット・プレイスのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
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「『ジョーズ』はサメについての映画ではない」
監督脚本主演を務めたジョン・クラシンスキーさんの言葉に全てが詰まっている

4DX?くそくらえ!って感じのパワーを感じる素晴らしい映画体験
これを機に、映画館でのマナーを見直す層が増えてくれると嬉しいですね!!!!!
マナー面だけではなく、映画の面白さも再確認


とにかくシンプルな作品
展開されるドラマも、誰でも感情移入できる内容を選んでいて、そういった意味での没入感も保障されている
でも、シンプルというよりは安直な部分も正直多いよな

極論言うと、ネタそのものが安直、かもしれない
それに特化していることが特別
少しの音にでも敏感にならざるを得ない静寂を全力で作ったことは見事!若干ルール曖昧に感じるけどね
必然的にビックリ箱映画なんですが、静寂強制という究極の前振りが、この作品にはある

でも、話の中での前振りが、安直すぎるかな…ロケットの玩具を持ち出す場面は予想した通りのこと起こっちゃうし、釘とか一歩間違えればギャグ、いや、最早完全にギャグ!釘!釘!おーい釘ー!あと、敵の設定も安直じゃねえかなーとか思わなくもなかったりする
しかし、安直と思えるとこも、話の流れの中で見れば、それなりに大事だったりしなくもない、ところもある、かな笑


この作品やっぱり脚本のドラマ面がイイ
ジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラントが実際に夫婦であることが、勿論大きな力となって脚本そして作品に説得力を与えていますが、何より一番大きな要素は、長女に実際の聴覚障害を持つ女の子を起用した所で、役者間での信頼関係が確かなものになっているからこそ、より説得力を増している
長女が聴覚障害である、そのことから派生した様々な要素が見事にハマっている

先述したロケットの玩具を何故彼女は持ち出させてしまったか?そのロケットから音が出ることを彼女は理解できていなかったからですね
その出来事を境に彼女は家族内での疎外感を募らせていきますが、父は彼女のために、あるものを用意しますし、それが後に大活躍しますね
手話を使っているのは、音を立てないことを優先しているというよりは、彼女のために家族全員が覚えていたっていうことでしょう
演じていた当時12歳であった次男役のノア君が、「手話はとても美しい言葉だ」と大人顔負けのコメントを残していますが、ただ喰らうだけの連中に対し、何かを失っても、欠けていても、美しいものに昇華できる、美しいものを生み出せる人間ってイイよね!っていうメッセージ、感じますね〜あの秘密の部屋で営んだのかな?ぐへへ

話戻すと、音に対するストイックさ、スゴイ
冒頭の橋の場面あたりで流れるピアノの旋律は、音程の悪い不快な音になっていて、この世界では音に対する意識が大きく歪んでいることが分かりますし、場面との呼応でトラウマ呼び起こしとして再び流れ出す演出もベタですがベター


どうしても起こりがちな別の生き残り問題や、その対策案もっと早く使えなかったのか?問題は起こるには起こってますが、他人が無残に殺られていくとこ一応見せてくれるので、ふーんこうやって減っていったんやな人類ぐらいは思えますし、例の道具も撃退のために作られたものではなくて集音するからこそ偶然そういう風に役に立ったっていうことなんで勘弁といったところ
でもガンでブチ抜けるなら、とっくに事は収拾がついてると思うんですけど…どうなんですかね笑まあスカッとしたからいいや!

こういうのを"いい映画"って言うんじゃないですかね…とかね
出会えましたよフィルマークスさんサンキューソーマッチ!
パンフレット読むと一層咀嚼できるので、食べ物飲み物は絶対に買わず、パンフレットを買ってください