TAK44マグナム

クワイエット・プレイスのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.0
耳が良すぎるのも考えもの。


凛とした美人女優エミリー・ブラント主演のパニックスリラー。
旦那さん役は実生活でもパートナーのジョン・クラシンスキーで、監督・脚本も担当しております。

「ドント・ブリーズ」が成功したので、昨今のホラー/スリラー映画界で大流行りの、所謂「何かをしたらいけない」系映画ですね。
本作の場合は、キャッチコピーの「音をたてたら即死」の通り、音をたてると宇宙クリーチャーがすごい勢いでやってきてグチャグチャにされてしまいます。
どうやら隕石でやってきたらしいクリーチャーは盲目なのですが聴覚が異常に発達しており、少しでも音がすると発信源を攻撃する習性をもつ、非常に凶暴なヤツ。
「ドント・ブリーズ」のスティーブン・ラングおやじがスーパーパワフルになったようなクリーチャーなのです。

しかし、いくらヤツらが獰猛だといっても何かしら対策をたてる時間はあったんじゃないかと思うのですが・・・
実際、音をたてても即死するわけじゃなく、ある程度の対策は劇中でも見られます。
音によってくるということは、逆に音でおびき寄せることも可能なわけで、それでも近代兵器で倒せなかったんでしょうかね?

お話は襲撃より89日後から始まるのですが、この時点で主人公家族だけしか出てこないので、政府も軍も消滅しちゃっているんでしょうなぁ・・・ちょいと人類弱すぎじゃない??
地下シェルターなど、音が漏れない施設はありそうですけれど、お偉いさんたちも逃げる暇も無かったのか。


それはそれとして、最初に末っ子君が不注意から音をたててしまい殺されてしまいます。
それが原因となって家族間のドラマを深くえぐったり、拡げるのかと思いきやそうでもなく、「物音をたててしまった」→「クリーチャーが来ちゃう」→「さて、どうしよう?」という、スリルを前面に押しだした攻防劇が中心となっています。
深みのあるドラマを期待するむきには不評かもしれませんが、マグナム的には、ジメジメした会話劇が続くは好みではないので、アッサリしていてよろしいかと。
後半は、一家とクリーチャーの攻防を畳み掛けるように見せてくれるので退屈を感じなくて済みました。

多少、御都合主義的な終盤の展開ではありますが、お姉ちゃんは利口であるとか、最低限のエクスキューズは語られていたので、腑に落ちないと思うよりもクリーチャーの「頭カパカパ」とかに注視する事が出来ましたよ。
個人的に、あのラストの締め方は好きですねぇ。
バッと終わってくれて。
エミリー・ブラントが格好いい。

基本、音をたてちゃいけないわけで、小さな声や手話での会話だったりと静かな映画ではありますが、不意にたててしまった物音やクリーチャーの不気味な声?が逆に際立って、(劇場そのものも)静かである事が最大限の効果をあげていると言えるでしょう。
ショックをウリにする映画の場合、音は重要。
鑑賞すれば分かりますが、ホラー映画の定番である「無音からのドーン!」が手を替え品を替え、縦横無尽に観る者の聴覚に襲いくる
「驚かし映画」として大変巧く練り込まれているなと感心しました。

設定の大雑把さに目をつむれば、従来のモンスターパニックの一段上をいく出来映え。
直接的なゴア描写がないので物足りなさもありましたが、そこに注力せずにレーティングを重視したのでしょうか?
何にせよ、非常にスリル満点で楽しかったです。


※マイケル・ベイの製作なので大雑把なのは当然だし、あくまでもB級映画ですよ(笑)


劇場(TOHOシネマズ海老名)にて