りょう

四月の永い夢のりょうのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
3.8
中川龍太郎監督作品にハマり中。

心を物理的に揺さぶられるような展開はないのだけども、静かにじわじわ染み込んでくる感じが好き。

主人公の初海は3年前に彼氏がたぶん自殺(?)し、それからというものの心の時間が止まっている毎日。教師を辞めて、蕎麦屋でアルバイトする毎日も、蕎麦屋の閉店をきっかけに環境が少しずつ変わる。
初海に好意をもった常連の志熊さんから初めて声をかけられたり、昔の教え子に再開したり、志熊さんから好意を伝えられたり…。心が止まってても、もしかしたら前に進んじゃいけない、と思ってても時間が過ぎ環境は変わっていく。

ずっと心に刺さっていた棘を抱えたまま、ようやく亡くなった憲太郎の実家へ。両親に歓迎されるも、母親にずっと言い出せなかった事実を打ち明ける。

「人生はなにかを獲得していくことではなく、失っていくことなのではないか。失っていく過程で本当の自分を発見していく」

この母親の言葉はきっと初海に対しても、そして自分自身に対して言った言葉だと思うが、確かにそうだなぁと思う反面、3年前から止まってしまっている若い初海に対しては、もう前に進んでいいんだよって言うニュアンスをもっと出して欲しかったように思う。

好きなシーンは、手ぬぐいがたくさん干されているところを歩いたり、寝転がったりするシーン!真っ白になったままの心を染めていく、って言うことも表現したかったのかな。

それにしても主演の朝倉あきさん、下町ロケットの人だ!って分かったけど、いい意味で、主演を飾る女優さん、って感じの派手さはないけども、控えめな佇まいや表情がとても良い。そんで、声もすごいいいなぁ、と思ったら「かぐや姫の物語」でかぐや姫をやってたんですね。これからもたくさん活躍してほしいです!
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