なやら

四月の永い夢のなやらのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
3.5
ラジオ=昼間のFM、映画=カサブランカというチョイスが象徴する屈託知らずの世界観には最後まで馴染み切れなかったが、朝倉あきの素晴らしさはとても素晴らしい。三浦貴大による告白的朝倉評がまさに言い得て妙であったと思う。「愛想笑いが板に付いていない者の表情」。ナレーションの時はそうでもない(…)のだけど、会話シーンでの声もいい感じ、平時の澄んだ声色に対し、DV男と対峙した際の毅然とした発声にハッとさせられた。
ちゃんと痛い所を突いてくれる友人・青柳文子、ステージに上がると一変する教え子・村松楓など脇の人物たちもなかなか良い。

一方で、朝倉の人生を動かす契機となる「手紙」の使い方/見せ方が良くない。冒頭からラストまで総じて良くない。朝倉が富山へ向かうバスの中で、車窓から差し込む光で文面が白飛びした手紙をジックリ映すショットは、「書かれてある事がついに分かると思った?……まだ教えませんよ〜」という作り手の声が聞こえてくる様で大分下品に思えた。マイナス0.5。
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