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アメリカン・ソルジャーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

アメリカン・ソルジャー(2017年製作の映画)
3.6
我が推しメン、マイルズテラー。
『トップガン マーヴェリック』で完全に大成した。
その勢いで最近も『ダイバージェント』を観て、なかなかの憎まれ役のバイプレイヤー加減を確認した。
だから、その勢いに乗ってダメ押しで。

ここでもマイルズテラーが普遍的でスポンジのように何でも吸収して染まれることを確認する。
この人、なんでも“それ”になれるな、スゴい。

イラク戦争に出兵して戻ってきたいわゆる“復員兵”の実話ベースの話。
彼らは非日常的な環境に身を置き、壮絶な経験の果てに、仲間を失ったり、負傷して元の体でなくなったり。

その経験の果ての帰還は、ただの「ただいま」では済まされないモノを背負って帰ってくることもある。

戦争で負った心の傷に悩む話は、戦争の代償として実際アメリカでは社会問題にもなる。

本作もその線の話。
彼らは平穏な暮らしの中で家族の元に戻り、何ひとつ危険なことはない幸せの中に帰ってきたはずなのに、それを受け入れられなかったり、幸せを幸せとして享受できなかったり。

彼らもそれをどうして良いかわからず、心と体が噛み合わず、それが却って自信に更なる混乱を招き、蝕まれていく。

このマイルズテラーは戦場では軍曹として部下も引き連れていたことで、帰還後も部下に慕われつつ、タフで面倒見が良い様子を装っていて、そうした仲間達にも気を配る。

しかし、彼もまた心が迷走しており、すり減っていく。

この病んでる仲間同士で、心配し合いながら、相手にも自分にも困りながらも慰めあって、神経すり減らしながら道を探そうとする姿がとても印象的。

冒頭のシーンが後半にもう1回やってきて詳しく語られる。
この出来事が彼らに与えた影響、戦争が払う代償、彼らが持って帰ってくるモノ。

これを帰還後にどう心で処理して折り合いつけていくのか、付けられないのか。

それらが1人の兵士単位で語られる複雑な心模様を淡々と描き切る映画。

マイルズテラーのこの手の実話ベースの作品と言えば『オンリーザブレイブ』もあるが、それに近い非現実的な現場から来る差し迫った緊張感と、気持ちのやり場に困る心模様の対照が際立つ作品。

この映画に1つ救いがあるとすれば彼の妻でヘイリーベネットが出てる。可愛い。この人、好き。


F:1778
M:920
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